「猫の子」
- 誰もどなたも猫の子にしよまいか 猫は良いものヨッコラ鼠捕る
- 猫が鼠捕りゃいたちが笑う いたち笑うなヨッコラわれも捕る
- いとし殿まの草刈る山に 笹や茨がヨッコラなけにゃよい
- 馬は三歳馬方二十歳 付けたつづらのヨッコラ品の良さ
- 西の山から東の山へ お前さ訪ねてヨッコラ北の山
- 郡上の白鳥踊りにござれ 爺も婆さもヨッコラ孫連れて
- 若い娘と新木の船は 人が見たがるヨッコラ乗りたがる
- 桜三月あやめは五月 菊は九月のヨッコラ土用に咲く
- 山は焼けても山鳥ゃ立たぬ 子ほど可愛いヨッコラものはない
- 来るか来るかと切子の下で わしの待つ人ヨッコラまだ来ない
- 滝を見るなら阿弥陀ヶ滝よ 滝の飛沫にヨッコラ虹の橋
- 唄も続くが踊りも続く 月の明るいヨッコラ夜も続く
- 郡上の白鳥お宮の森に 木陰吹く風ヨッコラ夏知らず
- おらが在所で自慢なことは 夏の夜に咲くヨッコラ盆踊り
- 様と別れて松原越せば 松の露やらヨッコラ涙やら
- 来るか来るかと待つ夜は来ずに 待たぬ夜さきでヨッコラ門に立つ
- わしが歌えば向かいでつける 余所に殿まはヨッコラ持つも良い
- 山へ来て見りゃ草刈る衆の 歌う唄声ヨッコラ声の良さ
- 馬に乗るのが大名なれば 夏の草刈りゃヨッコラみな大名
- 草が刈りたやあの西坂で 花の白鳥ヨッコラ見下ろして
- 良いと思えばあの君様の お側吹きくるヨッコラ風も良い
- 寝たか寝ないか枕に問やれ 枕正直ヨッコラ寝たと云う
- 若い盛りは二度とはないで 親も目永にヨッコラしておくれ
- お前鴬わしゃ時鳥(ほととぎす) 山を隔ててヨッコラ啼かまいか
- 山は焼けても山鳥ゃ立たぬ 子ほどかわいいヨッコラものはない
- 明日の天気は良いぞな殿ま 鳩が啼きますヨッコラ夕鳩が
- 花が蝶々か蝶々が花か 来てはチラホラヨッコラ迷わせる
- 嫁が憎いかよ舅の婆さ 可愛い我が子にヨッコラ添う嫁が
- 一夜一夜に枕が変わる かかる枕がヨッコラ定めたや
- 赤い襷は伊達には掛けん これも殿まのヨッコラ目印に
- 蝉は可愛いや七日の寿命 食わず飲まずにヨッコラ鳴き暮らす
- 米のなる木で作ったわらじ 歩きゃ小判のヨッコラ跡がつく
- 切れてしまえばまた新しく かけて楽しむヨッコラ三味の糸
- 踊る娘の腰つき見やれ 抱いて寝たよなヨッコラ夢を見た
- おまん桜に今宵も花が 悲しおまんのヨッコラ恋心
- 六日祭りの五つの花輪 神に届けとヨッコラ人櫓
- 滝があれどもその音を聞けず 虹の無効の霧ヶ滝
- 藤路桜か泰澄梅か 花が舞い散るヨッコラ長良川
- 春の白鳥雪解けともに 桜咲いてよヨッコラわが祭り
- 腕も強いが頭も切れる 男伊達ならヨッコラ甚九郎
- 唄で聞いたか踊りで見たか 美濃の白鳥良い所
- 音頭取りめが取りくたぶれて さいた刀をヨッコラ杖につく
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