「まつさか」歌でお城を
- お開きなされよ皆の 衆歌の殿様常縁が
- 歌で天下に名をあげて 歌でお城を取り戻す
- 平和の里にふさわしき 歌の郡上の物語り
- 郡上の城の始まりは 下総東氏が功により
- 山田の庄を加えられ 承久年間胤行は
- 剣・阿千葉に館して 郡上東家の開祖となる
- 文武すぐれしわが東家 勅撰集に名をつらね
- その名天下に聞こえたり 戦乱続き消えかけし
- 足利時代の文学の道 支えし力はわが東家
- 五山文学あればこそ 殊に七代常縁は
- 和歌に秀でし功により 公卿将軍の歌会にも
- 常に列して名は高し 時に関東に乱起り
- ときの将軍義政は 常縁公に命じてぞ
- 東庄回復はかりける 常縁郡上の兵つれて
- 関東に転戦十余年 そのころ京は応仁の
- 戦乱ながく打ちつづき 美濃の土岐氏は山名方
- 郡上の東氏は細川に 昨日の友は今日の敵
- 争いあうぞ是非もなき ついに土岐氏の家臣なる
- 斎藤妙椿大挙して 東氏本城篠脇の
- 城を襲いて奪いけり 常縁関東にこれを聞き
- 痛く嘆きて歌一首 亡父追善法要に
- ちなみて無常歌いしに この歌郡上に伝わりて
- 開く者胸をうたれけり 妙椿これを伝え聞き
- 心はかよう歌の道 敵とはいえど常縁の
- ゆかしき心思いやり 関東の空に歌だより
- ついに一矢も交えずに 十首の歌と引き換えに
- 郡上の領地返しけり かくて再び常縁の
- 徳にうるおう郡上領 歌の真実のふれあいに
- 恩讐こえて睦みあい 戦わずして手に入りし
- 歌の花咲く郡上領 げにもゆかしき和歌の徳
- 歌の真実の尊とさよ 歌で開けしわが郡上
- 歌でお城も守られて 歌の郡上の名も高く
- 平和日本ともろともに 栄えゆくこそうれしけれ
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