「猫の子」
- 猫の子がよかろ 猫でしやわせネズミョ捕る
- 猫がねずみ取りゃいたちが笑う いたち笑うな我も捕る
- 桑もよう咲けお蚕もよかれ 若い糸引きょ頼まずに
- 繭はよう立つ糸目はとれる 廻る見番色男
- 思って来たのにこの戸が開かぬ 憎や板戸の掛け金が
- 憎や板戸の掛け金よりも 掛けた婆さの気が憎や
- てっかりてっかりと 金のようらくさげた様な
- よせばよいのに舌切り雀 ちょいとなめたが身のつまり
- 坊主山道破れし衣 行きも帰りも木にかかる
- 婆さ枕もと箱根の番所 通りぬけたも知らなんだ
- 元まで入れて 中で折れたらどうなさる
- 今年ゃうろ年うろたえました 腹のおる子の親がない
- 寝たか寝なんだか枕に問やれ 枕しょうじき寝たと云うた
- 富士の裾野を仰いで見れば 甲斐でみるより駿河よい
- 様と三日月ゃ宵にばかござる いつかござれよ有明に
- ゆんべ夜這人が屋根から落ちて 猫の鳴きまねして逃げた
- 来るかくるかと待つ夜は こずに待たぬ夜さ来てかどに立つ
- 様の親切たばこの煙リ 次第しだいにうすうなる
- 破れ褌ゃ将棋の駒よ 角とおもえば金がでた
- 色で身を売る西瓜でさえも 中にゃ苦労(黒)の種がある
- 一夜御座れと言いたいけれど まんだかかまの側で寝る
- だれもどなたも猫の子にしょまいか 猫でしやわせネズミョ捕る
- ゆんべ夜這人が猫ふみころいた 猫でかえしやれ熊猫で
- なんと若い衆よじゃけらはおきゃれ じゃけらしてから子ができた
- よそへ踏みだしはばかりながら 音頭とリます御免なさりょ
- 小野の娘と馴染みになれば 日焼けなすびをただ呉れる
- 桑の中から小唄がもれる 小唄聞きたや顔見たや
- おもて四角で心は丸い 人は見かけによらぬもの
- 腰のひねりで気が行くなれば 筏流しは棹ささぬ
- 金が持ちたい持ちたい金が 持てば飲みたい着てみたい
- よくも付けたよ名を紙入れと ほんにあるのは付けばかり
- 思うて通えば千里も一里 障子一重もこりゃ遠い
- いやとゆうのに無理押しこんで 入れて泣かせる籠の鳥
- 一合の酒も口でうつせぱ二合となる
- 門に立ったる西国巡礼 住まい名のれよ婿に取る
- 住まい名のれば恥かしょござる 臼の目取リの子でござる
- 好きと嫌いと一度にきたら 箒立てたり倒したリ
- けちで助平で間ぬけで馬鹿で お先き煙草で屁をたれる
- 一つことばか面白ないで 品をかえてはやろまいか
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