「三百」
- 今年始めて三百踊り おかしからずよ他所の衆が
- 誰もどなたも揃えてござれ 小豆かすよにゴショゴショと
- おらが若い時ゃチョチョラメてチョメて 薬鑵(やかん)かけるとてびくかけた
- 越前ぼっかの荷なら そこへおろすな鯖くさい
- 買おておくれよ朝鮮ベッコウのかんざしを 村でささぬはわしゃ一人
- どじょうすいて来たに おかかなすびのほぞ取りゃれ
- どっこいしょと堀越を越えて 行けば宮代一夜とる
- 宇山通るとて開笹(かいざさ)みれば 森屋おりんが化粧する
- 郡上に過ぎたは長滝講堂 飛騨に過ぎたは一の宮
- 切れてしまへばバラバラ扇子 風のたよりもさらにない
- 泣いてわかれて松原行けば 松の露やら涙やら
- 五月水ほど恋しのばれて 今じゃ秋田の落とし水
- 泣いてわかれて清水橋こえて 五町の狭(せば)岩でけつ叩く
- 思い出してはくれるか様も わしも忘れるひまがない
- 那比の宇留良(うるら)やのう亀尾島も 住めば都じゃのや殿ま
- 土京鹿倉のどんびき踊り 一ツとんでは目をくます
- 小坂歩危坂別れてくれば もみじ散るやら涙やら
- てっかりてっかりてっかリと 金のようらく下げたよな
- 竹の切株ちゃ酒天童子(しゅってんどうじ)のしょんべんけ 澄まず濁らず出ず入らず
- 何もかも仲間なすび 汁煮りゃなお仲間
- わしがだいても合わまいけれど 合わぬところはごめなさりょ
- 今の音頭さはどんまいことはねた おらもそこらと思ていた
- 盆が来たならするぞえかかま 箱の宝の朱子の帯
- 暑い寒いのあいさつよりも 味噌の百匁も呉れりゃよい
- はげた頭を薬罐じゃと思て 番茶つまんでしかられた
- 様となら行くわしゃどこまでも しだれ柳のうらまでも
- 月のあかりにちょいと騙されて 様を帰して気にかかる
- 今年しゃ何んでもかんでも嫁入りせにゃならぬ 同じすること楽にする
- 嫁入りしたけど幸せ悪て へそが出べそで帰された
- 蕾が花よとゆうたは道理 開きや嵐にさそわれる
- 声がかれたに水くりょとゆたら くんで呉れたよ砂糖水を
- 恋にこがれて鳴く蝉よリも なかぬ蛍が身をこがす
- 娘したがる親させたがる 箱の宝の朱子の帯
- お前二十一わたしは十九 四十仲良く暮したい
- 姉がさすなら妹もさしゃれ 同じ蛇の目唐傘を
- 同じ蛇の目の唐傘させば どちが姉やら妹やら
- 音頭取りめが取りくたびれて さいた刀を杖につく
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