「さわぎ」
- ハー呑めよ騒げよ一寸先ゃ闇よ 今朝も裸の下戸が来た
- 花が蝶々か蝶々が 花か来てはちらちら迷わせる
- 今宵一夜は浦島太郎 あけて口惜しや玉手箱
- 明日はお立ちかお名残りおしや 雨の十日も降ればよい
- 無理になびけと云うのは野暮よ 柳と女は風しだい
- 姉は破れ傘させそでさせん 妹日傘で昼させる
- 梅の匂いを桜に持たせ しだれ柳に咲かせたい
- 色のこ白い別嬪さんに惚れて カラスみたよな苦労する
- ついておいでよこの提灯に 消して暗うはさせはせぬ
- 水させ水させ薄くはならぬ 煎じつめたる仲じゃもの
- 梅も嫌いよ桜も嫌だ 桃とももとのあいが好き
- よそで陽気な三味線きいて 内で陰気な小言きく
- 月のあかりで山道こえて 唄で郡上へ駒買いに
- 馬鹿な朝顔根もない竹に 命までもとすがりつく
- 様は良い声細谷川の うぐいすの声おもしろい
- 惚れてくれるなわしゃ弟じゃに 連れて行くにも家がない
- 浮気男と茶釜の水は 沸くも早いがさめやすい
- 惚れていれどもすかれておらず 磯のあわびの片想い
- 今夜寝にくる寝床は どこじや東枕に窓の下
- 東枕に窓とは言うたが どちが西やら東やら
- さいた盃中見てあがれ 中にゃ鶴亀五葉の松
「さわぎ」字余り唄
- 竹に雀は あちらの藪からこちらの藪までチュンチュンばたばた
- 羽なみを揃えて品よくとまる 止めて止まらぬ色の道
- 娘島田を根っからポクッリ切って 男のへそにたたきつけ
- それでも浮気の止まない時は 宗十郎の芝居じゃないが
- あんどの陰から ひゅうひゅらひゅうと化けて出る
-
- 竹の一本橋すべりそうでころがりそうで危ないけれど
- 蛇の目の唐傘お手手をつないで 様となら渡る
- 落ちて死んでも二人連れ
-
- 竹になりたや大阪天満の 天神様のお庭の竹に
- 元は尺八中は笛 裏は大阪天満の天神様の
- 文を書く法名を書く筆の軸
-
- 摺鉢を伏せ眺める三国一の
- 味噌を擂るがの富士の山
-
- ござるたんびに
- ぼた餅かい餅うどんに素麺そば 限(きり)ゃないで
- なすび漬食ってお茶まいれ
-
- 竹の切株になみなみたっぷリたまりし水は
- 澄まず濁らず出ず入らず
-
- 雨はしょぼしょぼ降る蛇の目の唐傘小田原提灯
- ガラガラピッシャンドッコイ姉さん今晩は
- 誰かと思ったら主さんか
-
- 瀬田の唐橋
- 膳所(ぜぜ)の鍛冶屋と大津の鍛冶屋が朝から晩まで
- 呑まずに食わずにトツテンヵッテン
- たたいて延ばして持て来てかぶせた唐金擬宝珠(ぎぼし)
- それにうつるは膳所の城
-
- 朝顔の花によく似たこのさかずきは
- 今日もさけさけ明日も咲け
-
- 声が出ない時きゃ
- 干支じゃないけど子丑寅卯辰未の隣りのどん馬のケツを
- ギュッギュらくわえてチュッチュラチュッと、スヤれ
- 馬のケツからコエが出る
-
- 郡上の八幡名広の奥の 乙姫電気の職人さんは
- 水がないので命がけ
-
- 郡上おどりに来年来るやら又来ないやら
- 来ても逢えるやら逢えぬやら
©1997 - gujodotcom