「古調かわさき」
- 郡上の八幡出て行く時は 三度見かやす枡形を
- 天のお月様かか盗まれて 雲のあいからかかァかかァと
- 若い娘と新木の舟は 人が見たがるのりたがる
- どんなことにもよう別れんと 様も一口ゃ云うておくれ
- わしの殿まはこの川上の 水の流れを見て暮らす
- 盆にゃおいでよ初い孫つれて 郡上おどりも見るように
- 向かい小山に日はさいたれど 嫁の朝寝は起こしゃせぬ
- 鶯とりでも初音はよいに様と 初寝はなおよかろ
- 踊りつかれてはや夜が明けた 何の話もできなんだ
- 思う様なら竹どよかけて 水で便リがしてみたい
- 声の良い衆はその身の徳じゃ 諸国諸人に思われる
- おらが若いときゃ五尺の袖で 路の小草もなびかせた
- 盆の十四日にや蓮の葉となリて 一夜もまれて捨てられた
- 咲いて口惜しや千本桜 鳥もかよわぬ奥山に
- 昔しゃ侍いま世に落ちて 小笹まざリの草を刈る
- 何がなんでもお前さでなけりゃ 東しゃ切れても夜は明けぬ
- 天の星ほど夜づまはあれど 月と守るは主一人
- 高い山には霞がかかる 若い娘にゃ気がかかる
- 郡上はよいとこ良い茶ができる 娘やりたやお茶摘みに
- 植えておくれよ畔(あぜ)にも 田にも畔はかかまのしんがいに
- 今日の田植えは春三月の 桜花かよちらちらと
- 泥で咲かした此のかきつばた 活けて根じめを見て欲しい
- 気立て良けリゃと云うたこた云うたが されどご器量が気にかかる
- 人を泣かせリやまた泣かされる 共に泣いたり泣かせたり
- わしと青田と草刈る山に 薮や茨がなけりゃよい
- 藪や茨がありゃこそよかれ 薮の小陰ものや殿ま
- 歌は歌やれ話はおきゃれ 話ゃ仕事の邪魔になる
- 天の川原は西東でも 今宵一夜は夜明けまで
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